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57. アリス,コウモリ,歩道橋etc... [日々雑感『本日もまた混沌と』]

気が向いたので、久しぶりの1句点への小旅に出ようと思う。
『29. 鶏、シンプル、悪あがきetc...』以来のことだ。
羅列その他に何の意味も無く、唯、夏の夜の今この生温い夜風がそうさせるのだ。


 一昨日のこと地元駅からの帰路、遠回りの道を選んだところ、お気に入りの歩道橋に差し掛かると、その手前で「プチっ」と何か黒く小さなモノが足下に転がり出たので「何だろう?」と思い見つめたところ、その小さく丸いアゲハチョウの幼虫の糞みたいな物体は実はホウセンカの種であり、「ありゃ、これは懐かしい...」と思い、訳も無く夢中になって落ちている種から未だ弾け飛んでいない種から拾い、摘み、集めていたところ、すれ違うオバハンやスポーツバック下げた日焼けした夏の高校生に「このヒトは何やっとんじゃ?」って感じにジロリ見られ、併しそんな「お他人様の視線はどうでも良いのだ〜」とばかりに夢中になっていたところ、ふと「一体こんなに集めてどうすんの?」と急に思案し出してしまい、強いては丸まるとカタチの良い種だけを残して不格好な痩せた種はポイポイとその花株の足元に投げ散らして帰り、アパートに着くやいなや忘れぬうちにとばかり空っぽのジャム瓶にコロコロと入れたところ、「なんてシンプルで、複雑で、可愛くて、奇麗なんだろう...」と昔イロイロな植物の種を並べその生長を想像していた時代があったことを思い出し、しばしそのアゲハチョウの幼虫の糞の様な唯の黒く丸い粒ツブに見とれるも、現在のところく予定ナシ。


 数日前、春休み以来4ヶ月半ぶりに魔の中学2年生の娘の穂子が上京の際、いつも通り一度は小競り合いがあるも険悪な空気は超早期決着をみせ、それはお互いに遠く離れて別々に暮らしす中で時間の貴重さ?を思い知る様な体験をしてきた結果なのか、他にも否が応でも子の成長の著しさ痛感し、他にもイロイロと教わる事も多く「え...マジ?」と焦って言葉が直ぐ出ない話も多く、併しアレコレと心配したところで自分はひたすら無力な血統上で確かな父親なだけであり、それでも一年に2回はこうして自分を慕ってはるばる一人で訪ねて来てくれる彼女と、一緒に作った大した事無い食事を「結構美味しいじゃん!」等と向かい合ってモグモグ食べる唯それだけのアタリマエの事が、こんなにも貴重で愛しいことだとは、昔の自分はまるでまるで想像出来なかったことを改めて痛感せざるを得ず、 新宿駅ホームでスーパーあずさ23号見送る際に娘が窓越しに携帯に打った「うぉ〜、あぃ、にぃ。」の文字を見て照れ笑いするも結局夕陽輝く中、遠く見えなくなる列車を見ながら涙が溢れ出す滅法 “見送り後に弱い” ワタシだったが、アパートへ帰ってから「何かおかしい...?」と気になり先日既に一緒に観た『花とアリス』のその台詞箇所再度観たところ「ふぉ〜、あぃ、にぃ。」だったので「アレな、“うぉ〜” じゃなくて “ふぉ〜” だよん!」なんてついついメール送るも、そんなバカ親には娘から丸二日間反応ナシ。


 昨日の夕方のこと無性にグダグダに汗がかきたくなり、本当は誰か心許せるオンナのヒトとまさぐり合ってグダグタになってみたいものなのだが、そんな予定は未定なので「ココは光が丘公園に遠出早歩きだっ!」とばかりに歩き出し、訳も無くひたすら広大な公園内を冬眠から目覚めた熊の様にウロウロスタスタ歩き回っていたところ、どこもかしこも盆休みを過ごすファミリーとカップルだらけ、この辺りならと一度芝生に座ろうと思いきや近くの物体はまさぐりあっているいい歳したダンジョであり、申し訳ない様な「いやはや参ったな...」という焦り顔で退散し、その後もひたすら "黙々と歩くオトコ" を実行していたところタイミング良く?或る気心の知れたヒトから電話があり、夕闇に折れ線で群れ飛ぶコウモリを眺めながらフンフンと聴き入っていたところ、気が付けばすっかり陽も落ちて辺りは足下すら良く見えない闇となり、不安を抱えたまま闇雲に歩き出すも帰路とは逆方向に歩いていた始末、何度も立て看板の案内を見直しやっとこさ小一時間前に歩き出した入り口に辿り着く迄、No Way Out状態にあたふたする七分ズボン(死語か?)の中年のワタシ哀し。


 本日アルコールが足りなくて急ぎ買いに走った24時間SEIYUの帰路、お気に入りの歩道橋から見える空は狭く、その狭い空にたなびく夏の雲は夕陽のオレンジを映して下端から燃え出しているみたいで、ふと高架下のレンガ造りの通路から蓋をした乳母車を押した老婆とそれに続いてミニスカートにタンクトップの20代前半とおぼしき女が歩き出て来て、同じ信号で横に並んで立つのを煙草をくゆらせながら上空から眺めていたところ、その近くに建つ街灯が路面に照らす白く丸い灯りの中で1匹の蝉が逆さまになったままグルグルと廻りながら時折「ジジッ、ジジッ、」と鳴き声を上げてもがいていたが、駅からの緩やかな坂の延長を勢い良く走って来た若い男の自転車のタイヤにブシャッと潰され、その蝉の「ジッ!」と言う断末魔の叫びにミニスカートの若い女が驚いて振り返るも老婆は微動だにせず、直に信号は青に変わりパコンパコンとだらしの無いサンダル音響かせ若い女は闊歩し出し、遅れて老婆は「そんなペースじゃ信号が赤に変わっちゃうぞ...」と心配になるくらいのスローモーションペースで道を渡り出したのを、電柱の陰に姿が見えなくなる迄見届けてからワタシは歩道橋を降り、白く丸い灯りの中でペッちゃんこになったスカスカのアブラゼミをつまみ上げてから直ぐ側のホウセンカの株の中に放り投げて帰った。





       (今夜の脳内ミュージック/DAVID BOWIE "Ashes To Ashes" )

湖畔でチェロ弾く男/寺山修司資料より(一部転載).jpg

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